活動報告

R7初級研修後期を開催(第12期生)

研修会

伝承者養成技術研修会 初級研修基礎講座(後期)を開催しました

2025年10月6日(月)~10日(金)にかけて、令和7年度初級研修基礎講座(後期)を開催しました。文化財修復に携わる左官職人の育成を目的とし、前期に続き座学・見学・実技を通じて、左官技術の基礎を学ぶ5日間となりました。

1日目:京都市

研修初日は、浜橋組建材にて左官材料として使用される京都の土の採取現場を見学しました。一つの山から複数種類の土がなぜ採れるのか、どのように採取しているのかを学び、素材への理解を深めました。続いて尾崎色土製造所にて採取された土が左官材料として発送されるまでの加工工程を見学しました。実際に京都で採れる土のサンプルも見せていただき、その豊富な色味と種類の多さに驚きました。最後に宇治方面へ移動し、黄檗宗大本山萬福寺を訪問しました。安達会長の案内のもと修理工事の内容や壁の構造、施工の工夫などについて説明を聞きながら、境内を見学しました。

実際に土を触り感触を確認

同じ山から採れる土でもかなりの違いが見えます

土の粉砕機 実際に作業する様子も見せて頂きました

様々な土のサンプル

実際に塗ってみて使用感を確認

黄檗宗大本山萬福寺を訪問

修理された壁について説明する安達会長

山門前で集合写真

2日目:京都市

2日目は佐藤ひろゆき氏の案内のもと二條陣屋を見学、午後からは安達会長案内のもと東本願寺・渉成園を訪問いたしました。

佐藤氏の説明を聞きながら見学

見どころが多く大変見応えがありました

左官技法だけでなく格式のお話など興味深いお話を聞かせていただきました

つづいて渉成園を見学

園内にはたくさんの塀や建物があります

渉成園の周りを囲む築地塀 とても長いです

つづいて東本願寺へ

修復時のお話を聞きながら見学しました

 

3日目~5日目:滋賀県大津市

後半3日間は、㈲津田左官工業所にて前期に作成した版築の経過観察、小舞(こまい)掻きの実技講習、チリ箒作りを行いました。

前期に施工した版築 一部分を砕き約1か月でどれくらいの固さになったか確認

藁縄編みに挑戦

とても難しく大苦戦しました

小舞掻き準備の様子

浅原氏に小舞掻きの指導を受けながら実践

お茶室や土蔵など4種類の壁で小舞掻きに挑戦

地域性や施工した職人により小舞の搔き方にも様々な種類が存在します

小舞掻き実技講習 完了

左官道具のチリ箒作りに挑戦 棕櫚(シュロ)で作成していきます

津田氏の指導のもと作成していきます

シュロ縄はヤシ科である棕櫚の繊維から作られており天然素材です

それぞれ個性的なチリ箒ができました

今年も初級研修全期を無事終了することが出来ました。講師の皆様、見学先各施設の皆様、その他関係者の皆様ご協力ありがとうございました。来年は第11期生の初級研修応用講座を開催する予定です。今後もよろしくお願い申し上げます。